今日も仕事、明日も仕事、明後日も明々後日もそのまた明日の明後日も仕事。

自然と口からはため息がこぼれる。

近くにいた彼はそんなオレをみて銃を突きつける。

ちょっといちゃついた後にまた仕事をする。

これの繰り返し。

 

今はほどよい暖かさの季節。

お昼時になると眠くなってきてしまう。

大きな欠伸を何回もする。

また銃を突きつけられ、眠気が覚める。

でも眠い。

だって目の前にはたくさんの書類があるんだもん。

 

彼が持ってきた新しい書類に目を通す。

すると一つの封筒が混じっていた。

あて先は日本からだ。

 

「…ん?沢田綱吉様……同窓会のお知らせ?」

 

同窓会?

どうそうかい…ドウソウカイ…

イタリア語とかばっかり聞いていたから、日本語を聞いてもあまりぱっとしない。

同窓会ってなんだったけ…

考えること13秒。

思い出した。同窓会は中学の同級生とかと会えるやつだ!!

 

まてよ…オレ同窓会に行けるのか?

 

同窓会だョ!全員集合!!

 

無理だろう。いや無理だ。

オレの家庭教師を納得させられる訳がない。

でも行きたいなぁ〜行きたいなぁ〜

皆の顔が見たいなぁ〜特に京子ちゃん。

オレの初恋の相手だったんだから、さぞかし可愛く、そして綺麗になっているんだろうな〜

 

こんな様子のオレに察しがついたのか、リボーンはいやそうな顔をした。

おねだりする子供のように目から星をとばす。

必殺おねだり光線!!!!!

 

「あぁもう…。目で物を言うな。ちゃんと口で言え。」

 

「だってリボーンは許してくれないと思うし…」

 

「それは言ってみてからじゃないと分からないぞ。」

 

「じゃあ…同窓会に行ってもいいでしょうか?」

 

「別に行ってもいいぞ。」

 

「…………マジで?」

 

耳を疑うとはこのようなことなのだろうか。

あのリボーンが、あの恐ろしいヒットマンリボーンから許しをもらえるなんて。

涙がうっすらと滲んできた。

 

「ただし。」

 

「ただし?」

 

「俺もついていくからな。」

 

やっぱりそうでしたか。

でもリボーンがついてこなかったら、ころされてしまう可能性が高いからな。

ドン・ボンゴレが一人で同窓会に行きましたなんて世間にばれたらとんだ笑われ者になるだろう。

リボーンがついてくるのには賛成だけど、皆にどう説明すればいいのか…

 

「オレのボディーガードです」

ダメだ。こんなに子供なのにこんなことをしているなんて知ったら大変なことになる。

「オレの兄弟(または従兄妹)です」

ん〜〜〜微妙。なんとも言いがたい。

「オレの家庭教師です。」

思いっきり馬鹿にされる。お前はこんな子供よりも頭が悪いのかと馬鹿にされる。

オレより頭もよくて腕もいいのは確かなんだけどね。

「オレの愛人です」

論外。

 

困ったなぁ…

どうすればいいのか。

リボーンがこれを聞いたら多分「俺の愛人です」で決まるだろうし。

仕方ない。

「オレの兄弟(または従兄妹)です」に決定だ。

こんな弟なんていらないんだけどな

従兄妹なんていらないんだけどな。

 

「それで何日にそれはあるんだ?」

 

「明日。」

 

「じゃあ急いでいく準備をするぞ。」

 

「でも…本当にここは空けておいてもいいの?」

 

「あぁ大丈夫だ。獄寺や山本がいるから凄いことでもなければ平気だろう。

 今のところは抗議も起きないはずだ。ある程度はもう片付けてあるからな。

 あいつらは守護者だし、空けておいても心配はない。

 唯、喧嘩をしても仲裁に入るやつがいないけどな。」

 

「また壊れるのか…修理代結構かかるんだけどな。

 まぁそこはいいか。」

 

この執務室は何回も修理をした。

壁が崩れないようにいい質のものを使っているんだけど、隼人はダイナマイト、武は刀だから太刀打ちできっこない。だから毎回喧嘩をするたびに壁はボロボロ。

飾ってあった花瓶や国宝級の壷なんかも割れてしまった。

いま花を生けている花瓶は100円程度のプラスチック製だ。

なんというか…切ない。

 

旅行かばんの中に服をいれる。

一度、ラフな服を持っていこうとしたら、リボーンに一喝された。

ボンゴレともあろうものが、そんなショボイ服を着てどうする。

スーツにしろ。俺がプレゼントしたやつがあっただろ。

やっぱり逆らうことは不可能なのでそのスーツを入れる。

唯単にリボーンは自分の買ってあげたスーツをオレに着せたいだけなんじゃないかとも思う。

 

一応イクスグローブと銃もいれておく。

いつ何時何が起こるのかはわからない。

もしかしたら空港にオレの命を狙っている奴がいるかもしれない。

同級生のなかに殺し屋がいるかもしれない。

それくらい、頭をまわしていかないとオレは確実に死ぬ。

こんな世界にオレはいるんだと再認識する。

 

もう一度中身を確認する。ちょっと心配性なので確認しないと気がすまない。

必要なものはきちんといれた。忘れ物はない。

カチリと音をたてながらケースの鍵をしめる。

これで大丈夫だ。

 

でも脳裏にいやな予感がよぎる。

直感だ。ボンゴレの血を引き継ぐものは誰もが持っているこの超直感。

外れたことは一度もない。

同窓会のなかでなにかとんでもないことが起きる。

そのときオレは皆を守ることが出来るだろうか。

負傷者を出さずに戦えるだろうか。

 

「それくらい出来ないと、ダメだからな。正真正銘ダメツナってことになるぞ。」

 

「また人の心を読むんだから…プライバシーというものがあるでしょう。」

 

「お前にプライバシーというものがあったら世の中の人は皆あるってことになるな。

 それより読まれないように努力したらどうなんだ?読みたくなくても自然と聞こえてくる。」

 

「それが出来てたら、もうしてるよ!!!」

 

まったくコイツは人を(オレ)を貶すんだから…

小声で文句を言いながら、ケースの取っ手に手をかける。

リボーンも嫌な顔をしながらケースの取っ手に手をかけた。

ボディーガードいや愛人…それとも家庭教師?をひきつれいざ出陣!!

久しぶりの休暇を楽しもう。



 




 

 →next(中編)